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100万本の赤い薔薇
第10章 華燭の祭典
外で佐々木と会ったという2人が戻ってきた。
佐々木も着替えてこっちに来ると言う。

また、賑やかな夕食になった。


「俺、2番目のが関西人だったから、
たこ焼き得意だぞ」と佐々木が威張って言った。

「2番目って?」

「ああ、俺、バツ2だから」と頭を掻いた。

「3回目は慎重にしないとな」

「なんだ。その歳で独身だから、ゲイなのかと思ってた」と、
結依がケラケラ笑って言った。

「こら!結依」と長谷川が言うが、
佐々木は一向に気にせず、
器用にたこ焼きを焼いた。



サプライズの秘密の計画は、こうして長閑に終わって、
少しずついつもの日常生活へと戻っていったのだった。

キッチンでお好み焼きも焼いて、茉莉子がテーブルに運ぶ。

長谷川と佐々木はビールを、
子供たちは自家製のミント入りのレモネードを、
茉莉子は温かい焙じ茶を飲みながら、楽しく過ごした。


「ああ、そうだ。
まこちゃんにお土産あったんだ」と言って、
結依と拓人が小さな包みを渡した。

1つは生八つ橋で、
もう1つはブサ可愛いビリケンさんのキーホルダーだった。

「恋が叶うらしいよ。
早く彼女が出来ると良いね」と2人は笑っていた。


「これ、開けると全部食わないといけないヤツじゃん。
食後にみんなで食べようよ」と佐々木は言って、
キーホルダーは大事そうに家の鍵につけた。


散々飲み食いすると、
「食べ過ぎた!」と言って、
佐々木はソファに横たわって、盛大な鼾を掻き始めた。


「もー!だらしないなぁ」と言いながら、
結依はブランケットを出してきて掛けた。

モカは暫く佐々木の手の匂いを嗅ぐと、ペロペロ舐めてから、
佐々木の足元に乗り、一緒に寝始めた。


「ちょっと仲良くなったのかな?」と、
拓人が笑った。

「いつも、牙剥いて唸ってたもんね」と、
結依も笑った。
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