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100万本の赤い薔薇
第11章 小さな箱
初めて1泊した長谷川と長谷川の父親は、ベランダのテラスで酒を酌み交わしながら本当に久し振りに夜、遅い時間まで話をしていた。

茉莉子が途中、酒の肴をトレイに載せて運ぶと、

「ベランダ、暗くて躓くといけないから!」と長谷川が慌てて手を差し伸べるのを見て、

「亮太は案外、優しいんだな」と父親が笑った。


「はい。亮太さん、過保護なほど優しいんですよ。
でも、親子ですもの。きっとお父様も同じでしょう?」と茉莉子も笑った。


確かに、長谷川が子供の頃、転ぶ前に心配して手を差し伸べては、
「過保護過ぎます」と妻に笑われた。

公園で大型犬に顔ごと齧られて病院に運ばれたという連絡を受けた時は、泣きながら病院に駆け付けた。

嫁と「デキ婚」になったと言われた時は、
大切に育てた息子が故に許せなかった。

孫娘の入院先でベッドに掛かっていた血液型が気になり、
息子に問い正した。
酔った息子が涙を浮かべて、
「陽子と他のオトコとの間に出来た子供だったんだ。
でも、結依は俺の娘だ」と言うのを聞いて、
嫁のことはそれまで以上に受け入れ難くなり、
孫娘との間にも壁を作ってしまった。

結依に会いたがる妻にも、強く当たってしまって、
ますます亮太とは疎遠になってしまった。


そんなことを思い出しながら、

「茉莉子さん、夜風は身体に触りますよ」と声を掛けると、

「ほら。お父様も過保護でお優しいわ」と言う声を残して、
室内に戻って行った。


「もっと亮太と話をすれば良かったな。すまん」

「こっちこそ。なんか俺、いつもイラついていて、トゲトゲしていた。
でも、これからはもっとオヤジと話もしたいし、酒も飲みたい。
オヤジの脚がまだ丈夫なら、
山にも一緒に登りたいよ」

「もう冬山は無理だな」

「拓人も一緒に連れて行きたいよ。
産まれた時から父親不在で育ってきて…
その分、オヤジらしいこと、してやりたいけど、
俺も不甲斐ないからさ。
父さん、よろしくお願いします」

長谷川は姿勢を正して頭を下げた。


「こっちこそ、
孫たちと接するのは殆ど初めてみたいなものだ。
でも、茉莉子さんが居れば大丈夫だろう」


「退官したらさ、もし良かったら一緒に住んで欲しいと思ってる。
まだ1年あるから考えておいて。
独りが気楽なら、沢山ここに来てやってくれ」

そんな話もしていた。


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