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100万本の赤い薔薇
第12章 エピローグ
夕食もみんなで賑やかにのんびり食べた。
まだ、赤ちゃんの名前も決まってないこともあり、
わいわい盛り上がった。


途中で赤ちゃんが泣いたので、
茉莉子はソファでゆったり赤ちゃんを抱いて肩からストールを巻いて授乳した。

その姿は、絵のように美しく、神々しくもあった。


長谷川はまた、感激して泣いているし、
佐々木まで貰い泣きしていた。


茉莉子は幸せそうに言った。

「家族で一緒に過ごせるって、
本当に有り難くて幸せなことですね。
こんな時間を共有出来る日を大切にしたいですわ」


みんなもしみじみとした顔で頷いた。


「でも…」
と続けた。


「今夜は赤ちゃんのお名前が決まるまで、
寝かせませんからね!」と、
悪戯っぽく笑って言った。


「家族みんなで決めましょう!
じっくり赤ちゃんのお顔を見てから、決めたかったの。
病院では痛いし、後半の授乳の時しか会えなかったし、
みんなも新生児室のガラス越しだったでしょう?
名付け親になった人は、
毎回、家族写真で赤ちゃんを抱っこ出来ることにしましょう」

「えっ?それ、茉莉子か俺の役目じゃないの?」

「民主主義の実力主義でいきましょ」

「あの…俺も混ざって良いの?」と佐々木が呑気な顔で言うと、

「まこちゃんは家族みたいなもんだから良いけど、
きっとまこちゃん、センス悪いから採用はされないよ。
だって、まこちゃんだもん」と結依に言われて肩を落とした。



そうやって、名付け親を巡って賑やかな夜は遅くまで続いた。
赤い薔薇の香りの中で、
誰もが幸せな気持ちで過ごした夜だった。


ふと鏡を見ると、茉莉子の耳のピアスのピンク色のパールとピジョンレッドのルビーが煌めいた。
まるで、
「幸せに」と言っているかのような温かい光だと、茉莉子は思えた。

茉莉子は肩を抱く長谷川を見上げてから、赤ちゃんごと身体を預けた。
全てを抱き締めてくれるかのような長谷川の温かさに、
心からの安らぎを覚えてた。


いつまでも、
どこまでも、
一緒に過ごしたい。

その気持ちは、長谷川も同じだった。
そして、茉莉子の為なら、
100万本の赤い薔薇を一生掛けて捧げ続けようと思った。








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