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100万本の赤い薔薇
第3章 怖くて堪らない
「モカちゃんの散歩に行くんだろ?
もう少し休んで落ち着いてからの方が良いかな。
心配だから、お供しても良いか?」

チェアに座って正面から茉莉子の瞳を覗き込みながら、
長谷川は静かに問い掛ける。

「でも、1人の方が落ち着くなら帰るよ。
その代わり、また倒れそうになったり具合悪くなったりしたら、
直ぐに携帯してくれ。
飛んでくるから」

と続けた。


「怖いんです」

茉莉子が小さい声で呟くように言った。


「私、男の人が怖くて、
触れられたりすると震えが止まらなくなるんです。
病気なんでしょうね。
だからラッシュの電車にも乗れません。
ちょっとした距離なら歩いてしまいます。
でも仕事の時は、まだ大丈夫になったんです。
近くに男性が居ることも多いし、
仕事柄ご挨拶で握手したりハグしたりするのも。
欧米人相手のご挨拶の両頬へのキスも大丈夫なんですよ。
でも、プライベートで何かってなると、
全然駄目で…」

と、少し自嘲的な表情を浮かべながらぽつりぽつりと説明する。


「いや、俺だってあんな小さくてぬいぐるみみたいな犬でもいまだに怖いしさ。
なんか、根本的な原因とか、
染み付いてる記憶とかがあるんだろう。
そのうち治るかもしれないし」

と、そっと手を握りながら話す。


「俺のこと、怖いのか」
と優しい顔で笑う。

まだ、微かに震えているのを感じる。
茉莉子の隣に座って、
ゆったり抱き締めると、髪を撫でた。


「きっと、長谷川さんが男性的で、
魅力的だから緊張しちゃうんですね」


「やっとちゃんと笑ったな」
と、戯けながら言った。
そして続けた。

「そうだ。
もっと一緒に居たら男に慣れてくるよ。
俺もそうしたら、犬が怖くなくなって、
一石二鳥だからさ。
茉莉子が怖がるようなことはしない。
いや、するかもしれないけど、
なるべくしないから。
まずは、犬の散歩の練習させてくれ」


「長谷川さん、
優しいのね。
ありがとうございます。
でもね、モカちゃんのお散歩だけじゃないんです。
お買い物にも行くし…」


「じゃあ、荷物待ちも必要だろう?
姫様のお供をさせていただきます」

と、跪いて恭しく茉莉子の手に口づけした。


茉莉子は笑いながら、

「支度してきますね。
あ、パーカーありがとうございます」

と言って、ゆっくり立ち上がって寝室に消えた。
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