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甘い復讐
第15章 公開処刑 5日目
12時の教会の鐘の音と共に、5日目が始まった。

娯楽の少ないこの時代、残酷な公開処刑は、人々の楽しみの1つだった。

直ぐに死ぬ人間の処刑と異なり、心臓を銀の剣で突かない限り死ぬことの無い吸血鬼の公開処刑は、人々の嗜虐心を十分に刺激した。


今日も広場には、多くの観客が集まっている。


「今日も良く集まってくれた。

この吸血鬼どもが、生まれてきた事を後悔するまで、徹底的に拷問し恥辱を与えなければならない。

1日目は快楽と痛みを、2日目は媚薬による強力な快楽を、3日目は徹底的に痛みを、4日目は徹底的に快楽をこいつらには与えてきた。

今日は、こいつらを徹底的に痛め付ける。
それも、こいつら自身の手で。

さあ、始めよう。」


何を言っているんだ、この男は?!
自分で自分を傷付けろということか?!

それを聞いた、サラ達4人は動揺を隠せない。


しかし、拒否したり歯向かうことは、即仲間の死に直結するだろう。

4人は、互いの命を人質に取られているようなもので、アルバートに逆らうことが出来ない。


まず、ロイスの鎖が解かれた。

後の3人は開脚椅子に鎖で縛られ身動きが取れない状態だ。


ロイスはアルバートから短剣を渡され、

「いいか?お前は、腹を十字に切れ。
勿論、内臓が出る深さでな。
良く見えるように、ここに座ったままで切れよ。」

と命じられた。


ロイスは、手に持たされた短剣をじっと見つめた。
そして、ポロポロと泣き出してしまった。


これに、アルバートが怒らない筈がない。


「何を泣いている。
早くしないと、お前の仲間がどうなるか分かっているのか?」

「うっ…うっ…ひっく…し、します。
しますから、それだけは!」


ロイスは、泣きながら短剣を両手で逆手に持ち、高く掲げた。

掲げた手は、ガタガタと震えている。

「さっさとしろー!」
「そんなに震えていて、出きるのか?!」

と、観客達の野次が飛ぶ。


フゥー、フゥー、フゥー


と、ロイスは、呼吸を整える様に、3度息を吐き出すと、


スグゥ!


鳩尾辺りに、思い切り振り下ろした。
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