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甘い復讐
第2章 序章 -サラ-
サラは、父親の顔を知らない。
サラの父親は、獣の血を飲んで生きることを良しとせず、サラが子供の頃に村から出て行ってしまった。

母に父の事を聞くと、決まって悲しそうな顔をされてしまうので、何時しか父のことは初めから居ないものと決めて考えないようにしてきた。


サラの母は、とても美しい人だった。
だか、帰らぬ父親を待ち、塞ぎ込みがちだった。

サラは幼い頃から、母の笑顔というものを見たことが殆ど無かった。
それでも、幼い日に一緒に行ったピクニック、野に咲く花で作ったブーケを嬉しそうに受け取ってくれたこと、優しく髪を梳かして結い上げてくれたこと、サラは、母親のことが大好きだった。


しかし、サラが18歳になった時、母親はとうとう心を病み、街の市場で、銀の短剣を手に入れた後、自ら心臓を突いて亡くなってしまった。

サラは、いつか必ず母を捨てた父親を見つけ出し、復讐することを誓った。

明るくおおらかで優しかった少女は、その時から見た目は変わらない。
しかし、その瞳の奥には、ひとつの強い意志が宿り、エメラルド色の瞳が一層強く輝いて見えた。


それからサラは、ずっと1人で村で暮らしてきた。


幸いにも、サラの周りには気に掛けてくれる優しい仲間がたくさんいた。
サラの心の傷と孤独は、年月と仲間達が埋めてくれた。

母親が死んで暫くは塞ぎ込みがちだったサラにも、いつしか笑顔が戻ってきた。

父親への復讐心はいつしか薄れ、復讐することよりこの吸血鬼の村の仲間と、ずっと静かに平和に暮らしていきたいと考えるようになっていた。

絹の様に滑らかで、透き通るような白い肌、大きなアーモンド型の目、エメラルドに輝く緑色の瞳、腰まで真っ直ぐに伸びたプラチナブロンドの髪、すらりと伸びたしなやかな手足。

死んだ母親に似て、サラは美しかった。

優しく美しいサラの周りには、いつも笑顔があった。


サラは月に2~3回、森で採れたベリーから作った酒や、鹿・ウサギなどの毛皮を、他の吸血鬼仲間と街に売りに行っていた。


食糧となる、獣の血を得るための猟銃や弾丸、衣服や生活必需品など、森の奥に隠れて暮らしているとはいえ、人間の街に行かなければ手に入らないものも数多くあった。

リスクはあったが、月に何度かの街への訪問は避けることが出来ない。
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