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水曜日の恋人
第9章 目の前で?やだ
新しい生活パターンになったけど、
水曜の休みはそのままにしていた。


アトリエの仕事は、エブリンを斜め掛けにして、
軽ワゴンで1人で月曜の早朝の市場への仕入れして、
水揚げするところからスタートした。
週初めは、葉物、枝物、日持ちが良い花材中心にした。

生け込みに行くお宅や店舗も少しずつ増えていた。
それとは別に、フラワーアレンジのレッスンをした。
テーマを決めてのレッスンにする一方で、
希望者には伝統的な生け花も教えた。
前者はマダム層が多く、
後者はそのお嬢様層が多かった。

また、入り口の処に小さいブーケやアレンジのサンプルを置くことで、
通りすがりの方が購入したり注文していただけるようになった。

木曜日にもう一度、週末のブライダルに使う花材を中心に仕入れた。


自分で、あるいはお嬢様、お嫁様に作りたいお母様からのリクエストで、
カラーブーケを自分で作り、
白いブーケは私にご注文という方も居た。

持ち込み料を払ってでも、
自分でと言う方は多くいらっしゃった。


会場装花の依頼もあったが、
1人での対応はとても難しいので、
お断りするしかなかった。

スタッフを増やすより、
まずは自分で出来る範囲でやっていこうと思ったからだ。

花の雑誌から取材もいくつか受けた。
広告を出しませんかと誘われたが、
広告料も高く、
このエリア密着の仕事の方が着実に思えたので、
そちらは断った。


フランス人デザイナーからも連絡が頻繁にあり、
次に来日する時のアテンドや通訳を全て一括で任せられた。

その件は、業界内でも話が廻っていて、
枕営業したんじゃないかと悪口を言っている人もいると、
ご丁寧に教えてくる雑誌の記者も居たが、
逆に私に取り入ってこようとする人もいた。


本宅のマダムは、体調が悪く入院されていることもあり、
なかなかお会い出来なかった。

お見舞いをと思い、お手伝いさんに訊いてみると、

「弱っている処を見せたくないと仰ってますので」と、
やんわり断られた。



そして、酒井さんから連絡が来たのは、2ヶ月ほど経ってからだった。
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