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先輩!彼氏にしてください!
第8章 危険人物
「俺、本気だけど…?」
「っ…………」
突然のイケボに、顔が紅くなるのが分かる。
慌てて顔を冷まそうとしていると、新先輩はそんな私に気付いてまた余裕そうに笑っていた。
「真っ赤じゃん。かわいー」
「っ……からかわないでください!」
「だからからかってないって、本気で好きだから、彼女になってよ」
止まらない甘い囁きにまんまとやられながら私は空いているもう一つの手で顔を抑える。
なんなの、ほんと。
やっぱり読めない。
て、いうか、やっと新先輩のこと忘れてたっていうのに、今になって現れた上に急に好き…とか彼女になってとか、本当勝手すぎるのに…
やっぱり嬉しいとか思っちゃってる自分が嫌になる。
「い、いやですっ……ほのか先輩…っ。こんなやつと付き合わないでください!! 絶対僕の方がほのか先輩のこと好きです!!!」
「どっちの方がほのかの事好きかは論点じゃないでしょ」
「っ……どういうことですか」
谷川くんが焦れば焦るほど、新先輩が落ち着いて見える。
「だって、決めるのはほのかだし、な?」
……ごもっとも。
「……それはそう…ですけど」
泣きそうな顔を向けてきた谷川くんから私は瞬時に目を逸らす。
『お願いだから僕を選んでください』と言わんばかりの顔に、かわいいとか思ってしまいそうになるのを懸命に堪える。
「とにかく!!!! 今は文化祭の準備!!!」
それだけ叫んで話を逸らし、2人から逃げるように作業を続けた。