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先輩!彼氏にしてください!
第12章 欲求不満な彼氏彼女
抑える気もないニヤケ顔を晒しながら、谷川くんは頭を掻いている。
かわいい……
とか思っちゃってる私も、釣られたように頭を掻いた。
「どこ行きます……?」
「新しく出来た水族館、ちょっと気になってる」
「あープロジェクションマッピングとかを駆使してる、ってところですかね」
「うん」
いいですね、と言いながら谷川くんは満面の笑みを見せた。
「楽しみだなぁ……」
そう呟いたあと、谷川くんは、「あ、」と声を上げた。
「なに?」
「あの、当日、かわいくしすぎないでくださいね」
「は?」
「どうせ何を着たってかわいくなってしまうんですけど……」
ぶつぶつ言い出した谷川くんは、突然眉をハの字にしながら私のことを涙目で見つめて来た。
「あの……この前のワンピースとか…」
「……それ、着ていこうと思ってた」
服に無頓着な私が持っている他所行きの服なんて、あれくらいのものだ。
「やーっぱり!! 絶対ダメです! あれはかわいすぎます! みんながほのか先輩のことを好きになっちゃう…っ」
また、大袈裟に色々と言い出した谷川くんを無視しながら、お弁当を食べすすめている脇で、谷川くんは「聞いてくるんですかー!」とずっと喚いていた。