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先輩!彼氏にしてください!
第8章 危険人物
お互いにしゃがみ込んだまま。
まだ乾かない瞳でじっとほのか先輩の笑顔を堪能してると、不意にふわっとほのか先輩のいい香りが鼻を掠めた。
「っ……ほのか…先輩……っ」
笑顔を向けられたと思ったら今度は強くほのか先輩の方から抱きしめられて、流石に夢なんじゃないかと思ってきた。
バクバクとうるさい心臓音をバックに、先輩の声が耳元で響く。
「ほんとに…天才なんだね」
「……………」
「…………おめでとう」
その言葉にぎゅんと心臓を鷲掴みされたような感覚になりながら、思わずほのか先輩を抱きしめ返す。
「うわっ…」
かなりの勢いで抱きしめ返した反動で、床にお尻をつけた先輩をそのまま壁に置いやった。
まずい。
また暴走する。
でも……止められない。
「………先輩…僕のこと、試してます?」
「え……?」
「かわいく笑ったり、急に抱きついてきたり、優しい言葉かけてきたり……っ」
「…ふ、普通にすごいって思ったからっ……」
慌てふためいている先輩は、一気に顔を紅らめると、僕から視線を晒す。
一々の仕草が煽っているようにしか見えない。
そんなわけないと分かってても、すぐ目の前にほのか先輩がいたら止めることなんか出来るわけない。
両手で優しく先輩の頬を包み込み少し強引にこっちを向かせると、ほのか先輩は、瞳をゆらゆらさせながら、僕のことを見てきた。