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先輩!彼氏にしてください!
第9章 青春の文化祭
虚しさを抱えながら、私も人だかりから目を逸らす。
高校生活最後の文化祭に、何でこんな気持ちになってるんだろう。
踵を返した私は、そのまま谷川くんを背に元来た道を戻る。
大丈夫、まだ遅くない…はず。
そう自分に言い聞かせていると、「あのぉ」と突然声を掛けられて私は顔を上げた。
困ったように笑う男の子に「はい」と返事をする。
中学生?とかだろうか。背は私より高いけど顔はあどけない。
それに油断して、警戒心もなく首を傾げたら、突然強く腕を掴まれて私は身構えた。
「っ……え、な、なにっ…」
「一緒に回りませんか?」
「は?」
突然の荒っぽいナンパに言葉を探す。
「お姉さんかわいいから、仲良くなりたいなって」
「意味分かりません」
「いいじゃんいいじゃん」
いや、まるで良くない。
何で私はこんな変な強引なやつに好かれるんだろうか?
もしかしてそういう星のもとに生まれた?
いやいや、今そんなことは置いておいて…
「あの、私、仕事中なんで」
「えーそんな固いこと言わないでよ」
「っ……はなして!!」
ぶんっと強く腕を振って掴まれた腕を振り切る。
掴まれたところが赤くなっているのを見ながら、キッと睨み返したら、男はチッと舌を打った。
「調子に乗るなよブス」
そう吐き捨てた男はスタスタとその場から立ち去っていく。
なんだ……やっぱり私、断ろうと思えば断れるし、抵抗だって出来るんじゃん。
てか、何なんだ、あの男。
イライラして言い返したいのを懸命に堪えながら、深く溜め息を吐くと私の脇をスッと誰かが勢いよく通り抜けていった。