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先輩!彼氏にしてください!
第7章 天才の苦悩
「完成した絵、安藤さんは見た?」
「……見てないですけど」
「いやぁー本当にすごいよ。今にも君がキャンバスから出てきそうなくらい魂の宿った作品というか…」
「そうですか」
まぁ、谷川くんが絵の才能があることは分かっていたし、予想はしていたけど。
「で、それが、なんですか?」
なかなか本題を言わない早坂先生に若干イラついていると、早坂先生はまた困った顔をしながら「それがさぁ〜」と言って頭を抱えた。
「はい?」
「谷川くん、その絵はコンクールに出さないって言って聞かないんだよ」
「え?」
「何が気に入らないのかなぁ、あれは間違いなく最高傑作なのに、本当天才の考えることは分からないよ……」
ガクッと肩を落とす早坂先生を私はぼんやりと見つめていた。
コンクールに出さない?ってことは私のモデルは無駄だったんだろうか。
まぁ別にそれは…いいけど。
「そうなんですか。本人が嫌って言ってるなら仕方ないんじゃないですか?」
その絵は私がモデルかもしれないけど、谷川くんのもの、だ。
谷川くんが嫌っていうなら、それはもうどうすることもできないような気がするけど。
「いや、そんな風に割り切れないよぉ…本当に、ほんっとうに素晴らしい絵なんだから」
そう言いながら、早坂先生が突然私の両肩を掴んできたので私はビクりと体を震わせた。