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月琴~つきのこと~
第3章 第二話 【月琴~つきのこと~】 一 
 だが、現実として嘉平太はそう言うと自分は夜具に身を横たえ、早々と眠ってしまった。
 後に取り残された妙乃は茫然と嘉平太の寝顔を見つめるしかなかった。嘉平太が本当に眠っているのかどうか、しかとは判じ得なかったけれど、問題はそんなことではなかった。嘉平太は妙乃に指一本触れようとしなかった。ただその事実だけで十分だ。
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