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月琴~つきのこと~
第1章 第一話【宵の月】 一
「申し訳ありませんでした」
 治助は両手をついて地面に頭をこすりつけた。
「もう良いのよ。だから、頭を上げてちょうだい」
 小文が心から言うと、治助が弾かれたような顔を上げた。
「許して下さるんですか?」
 小文が黙って頷くと、治助はホッとしたような表情になった。ふっと見せた笑顔は屈託なく、治助の人の好さを表していた。
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