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月琴~つきのこと~
第1章 第一話【宵の月】 一
「良かった、もう二度としません」
そう言うと、治助は視線を小文の白いふくらはぎに向けかけ、慌ててあらぬ方を向いた。
小文も自分がいまだに着物の裾を端折ったままで脚を露わにしていたことに気づいた。
若い娘の身で脚を露わにするなどはしたない真似をするからだと、父の惣右衛門にこっぴどく怒られそうだ。
「それじゃあ、俺はこれで」
治助はペコリと頭を下げて、小文に背を向けた。走り去ってゆく治助の姿を小文はぼんやりと見つめていた。