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第1章 予期せぬ再会

「そんなこと、べつに、いいのに。気にしないで」

乱れた呼吸をごまかしながら萌絵は答えた。

「いま、ひとり？」

拓海の声は耳元の囁きのようで、萌絵は体の奥をゾクゾク震わせた。

「今恋人はいるのかそれともフリーなのか」という意味なのか、それとも「周囲に誰もいないか」という意味なのか、どちらの意味なのか捉えかねる言い方だ。

拓海はよく、こういう意味深な言葉をわざと使った。

それは時に、二人だけの秘密の暗号のように響いたり、さりげない会話の中に、隠しきれない欲望を滲ませているように聞こえたりして、スリリングでセクシーだった。