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咲くのも、散るのも
第3章 花散るとき
拓海より先に、リムジンに乗って洋子が到着した。

胸のすぐ下に切り替えがあるふんわりしたチュールのドレスをまとった洋子は、まるで妖精のようだった。

長いトレーンを、後ろから介添人の女性がたくし上げながら、エントランスに向かう。

小柄な洋子は、たっぷりした裾を両手で抱きかかえるように持ち、ゆっくりと階段に足をかけた。

小柄なので、つま先までソールに厚みがあるハイヒールを履いていた。

緊張しているのだろうか、目元が引きつっている。

洋子は慎重に一段一段階段を踏みしめて行く。

そして、階段を上がりきった瞬間、なぜか後ろ向きに後ずさりして、右足を一段下にこつりと戻した。

直後、ベールをかぶった頭がかすかにぐらついた。

(立ち眩みだ)

萌絵はとっさに走った。なれない格好と緊張で貧血を起こしたのだと直感した。
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