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咲くのも、散るのも
第3章 花散るとき
拓海は長い腕をゆっくりと萌絵の背中に回し、そっとさすった。もう片方の手で頭の後ろを撫でる。

萌絵は身体を固くしてじっとしていた。

昨日言えなかった、今後一切会わない、という言葉を、今言わなければならなかった。

けれど、言葉を発しようとすると、呼吸が震えてしまう。力をこめるほど、言葉が喉に引っかかったみたいで声にならない。

(もう会えないなんて嫌)

自分自身に隠していた本心が顔を出した。

(体だけのつながりではない。私、拓海を愛している)

萌絵の言葉は涙になって目頭からあふれ出た。

拓海はしばらく萌絵を抱きすくめたまま立っていた。
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