この作品は18歳未満閲覧禁止です
咲くのも、散るのも
第3章 花散るとき
嗚咽が収まって、萌絵は顔を上げた。拓海がどんな顔をしているのか知りたかった。
拓海は、自分に向いた萌絵の顔を、両手で挟んで微笑みかけた。
親指で涙のあとを拭い、じっと見つめてくる。
萌絵は目を伏せた。
「もう、会うのはやめにしたい」
萌絵は、やっとのことで放った自分の言葉に、頭がくらくらした。
吐き出した言葉は、どんなに手繰り寄せても、もう自分の内側にしまい込むことはできない。
胸が苦しくなった。
「わかった」
拓海はうめくように答えた。