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ラストソング
第10章 旅立ち
その3ヶ月後に、身内だけでささやかな結婚式を挙げるはずだった。
偶然にも2人の母校でもある大学の中の教会でとなったが、
結果、身内だけでなく、音楽関係者や友人知人も集まり、
外で写真撮影をする時は、全員入りきれないほどだった。


美和さんの最初の結婚のことを聞いて知っていた神父様は、
美和さんの幸せな結婚を本当に祝福してくれていた。

…カトリックって、離婚認めないんじゃなかったのかな?と思ったけど、
フランス人だというその優しい顔の神父様は、
「あれは不幸な事故みたいなものだ。
ほら、そう言うの…ノーカンって言うんだろう?」と言ってウィンクした。


そして、披露宴は、大きなライブハウスを貸し切りで行った。


俺たちもバンド演奏や弾き語りもした。
太郎さんたちのバンドも賑やかな演奏をした。
ゲンさんも凄いメンバーを引き連れて出席して、
贅沢な演奏を繰り広げた。


最後に、美和さんのギターでレンくんが歌って、
2人の挨拶で終わった。


幸せな時間を過ごせた。



帰りにゲンさんに声を掛けられた。


「バンド、順調そうだな?」

「ありがとうございます」

「洋平、美和ちゃんのこと、好きだったんだろ?」

「いえ、今も好きですよ」

「そうか!俺もだよ。
よし、飲みに行くか?」

「豆台風だからな」
そう言いながら、2人で朝まで呑んだ。


明け方、ゲンさんと別れて、
登る朝日を観ながら歩いた。


俺と美和さんのメロディは、重なることはなかったけど、
複雑に交わったり離れたりしてハーモニーを奏でることは出来た。
そこには、レンくんのメロディも、ゲンさんも、
他のバンドのヤツらも、美和さんとレンくんの家族のも、
沢山交わって重なって、
オーケストラが奏でる音楽みたいに調和しては不協和音も時には入って、全体として素晴らしいものになっていくんだろう。


まだ、第1楽章ってところだ。
そこに赤ん坊の元気な泣き声が加わっていく。
これからも楽しみしかない。

そう思いながら、俺は大きな声で叫んでみた。
次にこんな声を出すのは、ライブの時だ。


俺は多分、
いつまでも美和さんに向かって、
俺の作った美和さんへの『ラストソング』を歌い続ける。
それくらいは許されるだろう。
そう思いながら、ひたすら歩いた。






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