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ラストソング
第4章 戦闘開始
何時かは判らないけど、凄く遅い時間にカチャっとドアが開く音がした。

いつも自分に言われてるのと同じで、
美和さんはうがいと手洗いしてシャワーをしてるような気配がした。

半分寝ていて身体は動かなかったけど、
耳だけ起きてる感じだった。


キッチンに入って冷蔵庫が開く音がした。
そして、俺の寝ているソファまで来ると、
小さい声で「ただいま」って言った。


俺は気合を振り絞って目を開けて、
美和さんの手首を掴んで引き寄せて抱き締めると、
「おかえり」って言った。


「起こしちゃった?
ごめんなさい」と、囁くような声で言う。

凄く心地良い。


「キスしたい」

返事を待ち切れずに俺はキスした。

角度を変えながら、何度も何度もキスをすると、
美和さんの身体の力が抜けて、重たくなって来る。


身体の位置を変えて、美和さんの上になって、
更にキスをすると、
美和さんはキスを遮って言った。


「ダメだよ。
寝不足だと声のコンディションに響くから。
寝ないとダメ」


「じゃあ、一緒に寝て?」


「まだ仕事が残ってるから」


「邪魔しないように静かにしてるから。
ちゃんと、先に寝てるし。ダメ?」


美和さんは諦めて笑い出す。


「良いよ。行こ」


俺の手を引いて美和さんの部屋に行った。


もう一度、抱き締めてキスする時、
俺は言わなくても良いことを口にしてしまった。


「ヤマモトレン」

「えっ?」

「あいつが、美和さんが想ってる男なの?」

「どうして?」

「たまたま見たんだ。
美和さんがライブハウスに入って行くところ」

「そう」

「煙草の煙だらけの箱だったから、夜、美和さん、咳が辛そうだった」

「レンくんは…大好きよ。
話もしたことないけど。
歌声だけで、魂をね、ギュッと鷲掴みにされるような気持ちで、
思い出すだけで震えるくらい好き」

「でも。
俺は誰が相手でも、構わない。
誰よりも、美和さんのこと、想ってる。
そのことだけは、覚えておいて。
心の底から、誰よりも好きだ。
会って間もないのに、自分でもよく判らないほど。
それだけ言っておきたくて。
仕事の邪魔しちゃったね。
ごめん。
おやすみなさい」


俺はもう一度、美和さんの額にキスをしてから、
美和さんのベッドに横になった。


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