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ラストソング
第6章 一騎討ち
「ほら。一緒に寝よう?
腕枕してね?
明日は大阪入りして、ベストの演奏、聴かせてね?」

そう言って美和さんは、俺の髪を撫でてくれた。


「美和さん、愛してる」
そう言いながら、いつの間にか俺は寝落ちしていた。


あんなに苦しくて、辛かったのに、
物凄く穏やかな気持ちになれた。


美和さんを巡る一騎討ちには、負けたかもしれない。
でも、レンくんと美和さんが結ばれることはない。

美和さんが泣きながら俺の元に戻って来た時こそ、
改めて美和さんを、俺だけの美和さんにしようと思った。


その為にも、大阪のライブ、
ベストなパフォーマンスを!と考えながらも、
夢の中では美和さんとセックスしていた程、俺は単純な男だった。


朝になった。

美和さんはブツブツ言いながらキャリーバッグに服やパソコンを詰めていた。
あまり見たことのないヒール靴や草履も下駄箱から持って来てた。
着物みたいなモノも入れてるから、
「それって?」と訊くと、
「月曜の仕事で必要なの。
クライアントの希望でね」と言った。


「今夜は何処に泊まるんですか?
一緒には…泊まれませんよね?」と言うと、

「泊まっても良いけど、セックス禁止だよ?
破ったら、ここから叩き出す」と言うので、

「承知しました」と背筋を伸ばして言った。

今回は、カメラも2台と三脚や一脚も荷物に入れてるようだった。


「一緒に出れるんですか?」と訊くと、

「1つ仕事してから行くから、リハに間に合うように行くよ。
ゲンさんも多分一緒に移動するから」と言われた。


そして、
「今回の大阪終わったら、2週間空いて、東京だよね?
メンバーどうするかとか、
今後のこと、話し合うと良いよ?
流石にゲンさんも、東京の千秋楽終わったら、
もう付き合ってはくれないし。
サクラちゃんのことは訊いた?」


「えっ?」


「そっか。
そのことも話さないとダメだしね」


「とにかく、今日のライブを全力で!
その後、考えると良いよ」と美和さんは言った。
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