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ラストソング
第7章 大阪の陣
大阪入りして、ライブハウスに入った。

今回は、学生時代に俺とリョウが一緒に組んでたバンドのベーシストが地元の大阪に戻ってやっているバンドが対バンだった。

歌モノではなく、管楽器も入れたジャズバンドで、
地元で人気があると言ってた。

オープニングアクトについても、彼に任せておいた。

大阪は固定客も結構居て、終わった後はファンの子も入れて打ち上げするということになっていた。


俺たちのリハーサル直前に、美和さんとゲンさんが連れ立って入ってきた。
美和さんはソフトケースに入れたギターを担いでいた。


いつものようにゲンさんはニコニコしながらゆったりセッティングする。
そして、今日は少し関西弁のようなイントネーションで話している。


「ああ、俺、こっち出身やし」と言われて驚いた。
これまでそんなことを感じさせられなかったからだ。


リハもサクッと終わり、
本番も賑やかに終わった。

ゲンさんは、演奏終わると片付けて、
「わりい。俺、打ち合わせあるんで。
お疲れ〜」と言って、ライブハウスを出て行った。

美和さんも、
「今日は私も仕事。
お疲れ様でした」と言って、出て行ってしまった。


打ち上げ中に、
「チェックインしてから打ち合わせに出てるよ。
打ち上げ終わったらフロントで鍵貰って部屋に入って休んでてね!」と美和さんからLINEが来た。
ホテル名と部屋番号も書いてあった。


打ち上げでは、ゲンさんのことが気になる同級生ベーシストが、
思わぬことを言った。


フュージョン系ユニットとかで一世を風靡したバンドの名前を出して、
「そのバンドのベーシストじゃないかな?
名前も確か、ゲンって」


俺とリョウは、顔を見合わせて、
「まさか!」と言うが、
思い当たるフシもあった。


それと、サクラとリョウから、思い掛けないことも言われた。

「俺たち、結婚する」

「おお。おめでとう!」

「それでさ、子供も出来てるんだ」

「えっ?」

「先週、コイツが美和さんに言われてさ。
検査薬で調べたら、ビンゴだった」

「ええ?」

サクラも言った。
「貧血っぽい顔してるけど、妊娠してない?
初期は大事にしないといけないからって言われて…
自覚なかったけど、心配だから調べてみてって言われたの」


美和さんが言ってたのはそのことかと思った。

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