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あおい風 あかい風
第10章 空港
 「ふられた。他の男と 結婚するそうだ」

 ひたすら前を見ていた結月が 初めて陽輝をみた。それからは ずっと窓の外をみている。 鼻をすすりあげるような音が聞こえた。
 「泣いてるの?」
 「泣いてない」
 泣いている声だ。

 「泣き虫だなぁ」
 「泣いてないもん」

 膝におかれた結月の手をとった。ふりほどかなかった。

 結月は あの後 陽輝が それまでと変わらない生活を続けたと思っていたのか。

 結月と過ごしたあの日から 何かが変わってしまった。
 時間というものについて考えてみた。
 大輝がいなくなった時にも 時間について思い巡らせたけど 結月との関係で また考えが変わった。

 時間は いつも無料で手に入る。でも どんなにお金を積んでも 買うことはできない。
 少女を 女にしてしまう時間。

 もっと大事にしなくては。

 空港に着くまで 結月の手をはなさなかった。
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