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あおい風 あかい風
第6章 いとこ
 試験週間が始まった。
 推薦で 大学はほどんど決まっていると皆から思われている戸渡結月だったが 自分としては できるだけ良い成績をとりたかった。
 何でも上位にいるというのが好きだったからだ。なぜ 他の人たちは 上にいる人間を追い抜かずにいられるのか不思議だった。
 い つも頑張らずにはいられないのだ。

 「大ちゃん 今日 一緒に勉強する?」

 いとこの大輝は 数学の成績だけは 結月より良かった。おそらくそれは天分の才で 大輝の7歳年上の兄陽輝も 数学は秀でていた。
 母親同士が姉妹で 仲が良く 家が近いせいもあって 一人っ子の結月は 大輝兄弟とよく一緒に過ごした。大輝達の母親も 男の子し
 かいないせいで 結月を自分の娘のように可愛がってくれた。五ヶ月早く生まれたというだけで結月は 大輝に対して年上風をふか
 していた。幼いころから口数の少なかった大輝は それを受け入れ 結月のわがままを気にしなかった。

 「うん。うちに寄る?」

 校内では この二人は付き合っている、と噂されていたが 結月は否定しなかった。大輝は気づいてもいなかった。結月にとって 高
校生活で 勉強と音楽以外のことは大した問題ではなかった。
 いつも二人で勉強する時は 大輝の兄、陽輝の部屋でする。
 大輝の部屋より広く片付いているのに 部屋の主は不在なのだ。
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