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あおい風 あかい風
第8章 髪飾り
 金色に輝くシャンデリアを囲む螺旋階段を降りてくる美脚に しばし目を奪われた。
 昼間から飲んだアルコールのせいもあって少 し大胆になっていたのだ。ヒールはそれほど高くない黒のパンプス。黒地に赤いスパンコールをあしらった結婚式にしては地味目 の裾広がりのドレス。ほっそりとした脚が綺麗だ。
 細めの腰周りから 豊かな胸元へと視線を這わせる。つまり気味の襟から 白い首へと続く。真紅の唇がこころもち開いて 艶めかし い。結い上げた髪に ドレスに合わせた黒い花の形の髪飾り。

 「ゆうちゃん?」


 ゆっくり視線を合わせると
 「はるにぃ?」
 陽輝は驚いてしまった。綺麗になった。
 「誰かの結婚式?」
 結月の歳なら 結婚する友人がいてもおかしくないだろう。
 「ううん。生演奏のバイト。はるにぃは 結婚式に出席したの?」
 「そう。お年頃だから 他人の結婚式ばかりに出てるよ」

 やせたなぁ・・・大輝のことがあったからか。

 「同じよ。他人の結婚式ばかりに出てるわ」
 「チェロの演奏?」
  「うん。今日は チェロ」

 こんな美人が演奏したら 花嫁は気の毒だな。
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