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あおい風 あかい風
第9章 乱
 昨日 一睡もしていないせいで 眠ってしまったようだ。結月を後ろから抱きしめ 二本のスプーンのようにぴったりと重なったまま 眠ってしまったらしい。

 白いものが 離れていくのが ぼんやりみえる。結月だろうか。何か言い忘れたことがあるようなもどかしさ。
 満たされたあとの心地よい疲労感で 起き上がることができない。
 やっと「まって」と、声に出せたような気がしたが 夢かもしれない。

 すっかり目が醒めたのは 4時過ぎだった。 夢ではなかった。結月はいなくなっていた。
 パソコンのそばに 結月の髪飾りが残されている。忘れたのだ。
 
 「これが最後」
 すべて 忘れるつもりだろうか。


 シャワーは使いたくなかった。すべての愛撫の余韻を できるだけ残しておきたかった。

 今まで 散々邪険にされ ないがしろにされてきた身体なのに 裏切らなかった。心が求め続けてきたものを 身体が見つけてくれた。
 心で受けとめる豊かさや満足に比べて 肉体というのは なんて薄っぺらで浅ましいものしかもたらさないのだろう、と 思い続けてきた。
 肉体の快楽なんて馬鹿にしていた。
 そんなものに心が乱されるなんて 愚かでしかない。

 結月の乳房を見たとき 陽輝の目に浮かんだ驚嘆を見逃さなかった。美しい身体を持っていることが 生まれて初めて嬉しかった。
 陽輝の愛撫を すべて受け入れ、悦ぶ身体が愛おしかった。身体の悦びが 心まで潤してくれる。このために生まれてきたのだと思えた。

 「結婚しようと思っている人がいるんだ」
  それでも いい。
 
 ヘスター・プリンは このことのために 残りの人生を変えたのだ。今は 愚かな選択だとは思えない。

  できるだけ音をたてないようにドアを閉めた。
  ホテルに預けてあるチェロを取りに行かなくては。
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