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Memory of Night 2
第3章 甘い遊戯

朝食を終えると食後のコーヒーを煎れてくれた。
二人で飲みながら、ふいに晃が言った。
「宵。申し訳ないんだけど、俺来週から予備校に通うことになったんだ。月水金の週三日。帰りが十時過ぎになっちゃうから、夕飯作れない日が出てくるかも」
「ああ、全然。俺がなんか適当に作るからいーよ」
「宵もバイトだろ? できる時だけでいいよ」
「うん」
三年になり、進路を考えなければいけない時期になる。宵は高校を卒業したら就職するつもりなので受験とは無縁だが、晃はきっとこれから忙しくなるだろう。それはなんとなく察していた。
高校トップの秀才で、親が医者。晃も医学部を目指していると、前に話していた。
「成績落としたら同棲の許可が下りなくなっちゃうし、頑張るよ。宵と毎日イチャイチャできないなんて耐えられない」
「変態」
「ーー好きだよ」
いつの間にか隣に来ていた晃と、フレンチなキス。もう一度唇を重ねる。
「……んっ」
晃の舌が歯列を割り、口腔へと潜り込んでくる。ほろ苦いコーヒーの薫りに、朝から体温が上昇していくような気がした。
「はい、おしまい。遅刻しちゃうと困るしね」
「じゃあ煽るなっ」
食器だけ水につけて、慌ただしく部屋を出る。
五月半ばの外は、初夏の香りがした。

