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Memory of Night 2
第13章 投影
「ーーあれ、今日は自転車?」
次の水曜日。宵がバイト先であるローズに行くと、ちょうどマスターの亮がいた。
月曜日のシフトから自転車で来ていたが、亮はお休みだったらしく、会わなかったのだった。
「お疲れ様です。これからは自転車で出勤します」
「お疲れ様。……そうなんだ。最初の面接の時自転車無いって言ってなかったっけ?」
「あー、友達に借りました」
「え!? ……もしかして、ハルちゃんと何かあった? なんかきつく怒られた、とか、意地悪された、とか」
(意地悪って……)
その言い方は小学生かよ、と思う。ドライブで連れまわされたのも、意地悪に入るんだろうか。
「なんもないですよ。毎回送り迎えじゃあっちも大変だろうな、と思っただけなんで大丈夫です」
授業が終わって一度家に帰って着替えてから出勤もできるから、制服で来なくていいのも安心感があって良かった。通勤の時間も、のんびり漕いでも二十分ほど。
なんだかんだ言って、自転車の方が渋滞にハマらない。帰りは九時半過ぎなので車の方が断然早かったが、来るときはちょうど帰宅ラッシュで混んでいるので、迎えに来てもらうより早いくらいだった。
「雨の日大変だったら遠慮せずハルちゃんに頼みな。そういう契約でーー」