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Memory of Night 2
第13章 投影

腕だけでなく全身の筋肉に無理をさせてしまった自覚はあった。
「ちゃんと休まないと。ハルちゃんの体が使い物にならなくなっちゃったらどうするの?」
「じゃあ一週間、お休みいただけますか?」
冗談のつもりだったが、あっさりと肯定が返ってきた。
「いいよ。彼がいるから」
まるで条件反射のように、亮の顔を下から睨み付けてしまう。
「彼がいるからなんだって言うんです? ドリンクと料理を運ぶくらいしかできないあんなガキにッ……!」
「ーー別に僕、宵くんのことだなんて言ってないよ」
クスクスと、亮は笑った。
「本当に、君はわかりやすいねぇ」
「……マジでうぜ……」
本気で腹が立った。春加は低く呟き、貰ったバラを、乱雑に放置されたままの机の上に叩きつける。赤いバラの花束はぼすっと弾み、花びらが何枚か落ちた。
「ごめんね、嘘だよ。日曜までお休みしていいよ。今日は本当にありがとう」
春加は無視した。すぐに出ていくかと思ったが、亮はその場から歩きだそうとしない。
「一人になりたいんですけど」
「一個だけ。……僕、ずっと宵くんのこと、どこかで見たことあるような気がしてたんだよね」

