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Memory of Night 2
第16章 恋と魚突き
昼食を済ませたあと、四人は早々に岩場に向かった。緩やかな砂浜よりも、岩場のかげなどに魚たちはいるらしい。
せっかく膨らませた浮き輪やビーチボール、設置したビーチパラソルまで移動させなければならず、荷物全般がさばることこの上ない。
「……マジで荷物多っ」
「……ごめんて」
四人で砂浜と岩場を二往復してようやく運び終えたのだった。
文句を言う宵の隣で、晃がフォローを入れる。
「食後の軽い運動になったし、気にしなくて大丈夫だよ。俺達のためにこんなに用意してくれたんでしょ。ありがとう」
謝る明ににっこりと笑ってそう言った。
「……アッキー優しい」
明は感激したように両手を胸の前で組み合わせる。
岩場にはほとんど人が居なかった。海水浴のメインは波も穏やかな砂浜のようだ。
「コケも生えてて滑りやすいから足下には気をつけてね」
「はいよ」
明の呼びかけに、大山が返事をし、他の二人も頷く。
四人は岩場と岩場のスペースが広い場所を一回目の荷物運びの時に見つけていた。そこに荷物をまとめて置き、明が早速モリを手に取る。古びた黒いカバーのファスナーを開け、中から取り出す。
一メートルほどの長さの竹の先にゴムが取り付けられ、先端の針は三つに割れている。