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Memory of Night 2
第16章 恋と魚突き

海なし県だし海に入る機会がないのは仕方がないことだ。
晃は明の時同様、宵に一から丁寧に魚突きのやり方を教えた。
「まず竹ヤスの握り方から」
晃が後ろから宵の右腕を掴み、そこに竹ヤスを握らせてきた。どの辺りの位置を掴むかだとか、指の形などの細かな部分まで。
「魚は普通に海の中を泳いでたりもするけど、岩の途中の窪みの中に隠れてたりもするよ。多分そっちの方が突きやすい。あと、貝類は捕っちゃダメだよ」
「はいよ」
「魚の動きって速いから、進む方向を予測して少し前に振った方が当たるかも」
「……へー、やっぱ難しそう、だな」
「大丈夫だよ、俺が手取り足取り教えてあげるから」
「……言い方。てかさっきから距離近い……っ」
晃の体は宵の体にぴったりと密着していた。魚突きのやり方も、教えられているというより耳元で囁かれている、という表現が近い気がする。
裸で隣にいるからか冷たい水の中だからか、少し触れただけでも晃の体温を意識してしまう。
心臓の鼓動が速まっていくのが自分でもわかった。
「ん? 波の音で、声が届きづらいかなと思って近付いただけだけど? 何? ……もしかして、いやらしいことでも考えた?」
後半部分は小声で。
宵は慌てて否定する。
「考えるわけないだろ、そんなのっ」
「だよね、君の友達もいるもんね」

