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Memory of Night 2
第16章 恋と魚突き

晃は岩場の陰の荷物置き場から、ペットボトルのお茶とタオルを明に手渡した。
「あ、ありがと」
明の礼ににっこりと笑みを返す。
「なあ宵、大西のやつ、もしかして明のこと狙ってないか?」
耳元で小声で問うてくる大山の声には、敵対心が滲み出ていた。
「……狙ってねーって、多分」
「爽やかな笑顔だぞ」
「いつもあんな感じだから心配すんなって。いいから早くクーラーボックス買ってこいよ、あ、あと氷も」
晃と明を気にしつつも、大山が海用のパーカーを羽織り買い出しに向かう。
「あ、防波堤登って右の道路沿いにあるからね! 五分くらい。ありがと大山、よろしくねー!」
ぶんぶんと手を振る明に大山は頷き歩いていくのだった。
「ーーさて、次は宵か」
「おまえは休まなくて平気なの?」
「俺はまだ大丈夫」
「宵、頑張れー! オカズいっぱい取ってきてね」
明は岩場の陰で体育座りを始めていた。タオルを被り、パーカーを羽織りすっかりくつろぎモードだ。
宵は日除けで羽織っていたパーカーを脱ぎ、足から海に入る。
確かに、意外にもそれほど冷たくはなかった。
「宵は泳ぎ得意なの?」
「クロールとかそういうのは一通りできるけど、海はあんま来ねーしわかんねー」
「まあ、だいたいそうだよな」

