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Memory of Night 2
第16章 恋と魚突き
首を振ろうとした瞬間、後ろからゴーグルも取られ、口付けられていた。いつもより強引で深く唇を貪られる。
「ふ……ん……っ」
足がギリギリ着くかどうかの不安定な場所だと、キスも大変だった。つい晃の体にしがみつくと、背中を撫でまわされる。
だがその瞬間、頭上で声がした。
「おーい、宵、大西ー!」
大山だ。
宵は慌てて晃を押し退けた。
「宵、息、おもいきり吸って」
だが晃は体を離さず、耳元で一言。
言われるままおもいきり息を吸い込むと、その瞬間水中に引きずり込まれてしまう。
ゴーグルの無い水中世界はまた少しだけ違う綺麗さで、曖昧でぼやけた色が広がっていた。
間近に迫る晃の顔も少しだけぼやけている。
大山から隠れ、再び合わさる唇。たくさんの気泡が皮膚の表面を撫で、優しく全身を愛撫されているようだった。
水の中でも器用に舌を押し込み、唇の裏側や歯列の間などを刺激してくる晃の肉厚な舌。
気持ちよさに夢中になりそうになるが、水の中にそんなに長くはいられない。お互いに少し離れて海面に顔を出すと、頭上には大山と、隣に明もいた。
「見てー! 大山があと二本、竹ヤス買ってきてくれたの!」
「おう、今日は暗くなるまで魚突き大会だ! ……俺まず立ち泳ぎの練習からだが頑張る」
「…………マジかよ」
さすがにずっとはしんどすぎるのでは、と宵は思ったが、明も大山もイベントごとには全力を尽くすタイプだったと思い出す。
「目指せ一人十匹ー!」
「おおおおお!」
明と大山の掛け声に宵は持っていた竹ヤス、晃と大山は拳を突き上げるのだった。