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Memory of Night 2
第17章 台風接近

「え、明ちゃん付き合ってる子いないんだね。美人で頑張りやさんで明るくて成績も常に上位なハイスペックさんだから、てっきりいると思って、彼氏持ちの女の子を奪い取ること前提の助言ばかりしちゃったんだけど……」
「強引なのヤダってよ。やめろ、大山に物騒なこと吹き込むのは」
恋愛ネタを投下しておいて文句を言うのもあれだとは思うのだが、大山には硬派でいてほしかった。恋が成就するためにも。
「恋愛感情がよくわからないんだって。友達からなら行けんじゃね? 知らねーけど」
「そんなん、期待するぞっ! 晃、方針を替えて更なるアドバイスを頼む!」
「うーん、一から全部練り直そうか」
「…………」
いつの間にか、大山は晃を下の名前で呼んでいる。この短時間でどんな話をしていたのか。
その時だった。
再び戸が開き、明が入ってくる。
炊き込みご飯、あら汁、それから醤油やわさびなどをお盆に乗せて。
「下でお夕食いただけば良かったかな? ごめんね、何度も二階まで運ばせて」
晃が申し訳なさそうに言う。
「全然大丈夫。下あんまり部屋無いんだよね」
「明も一緒に食うだろ?」
「もちー!」
必然的に大山の隣の席となる。
明が座布団の上に腰を下ろすと、わかりやすいくらいに大山の動きが硬くなる。クラスも三年間一緒なわけだし席だって近くなので、話す機会は多いはずなのに、意識しだすとこんなにもぎこちなくなるものなのか。
眺めているこっちが居たたまれなくなりそうだ。
学校とは違う、プライベートな場だからなおさらなのかもしれない。
「あったかいうちに食べよう!」
明の声で、誰からともなく手を合わせ、声が揃った。
「いただきます」

