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Memory of Night 2
第17章 台風接近

夕食はどれも美味しかった。明の味付けがいいのはもちろん、捕れたての魚をふんだんに使っての魚尽くしの夕飯はとても贅沢だ。
満腹になるまで食べ尽くし、くつろいでいる時、思い出したように晃が言う。
「そういえば、さっきスマホ鳴ってたよ。ご飯作りに行ってた時」
「ああ、スマホかばんに入れっぱなしだったかも」
席を立ち、取りに向かう。
大山も隣で声をあげた。
「……結構何度も鳴ってた気がするけど大丈夫か?」
「何度も? あー……相手わかったわ」
鬼電してきそうな知り合いは一人しかいない。晃も察しがついたからこそ何回も着信があっても知らせに来なかったのだろう。
一応スマホを確かめると、やはり相手は春加だった。着信の回数ーー七回。
その数字についため息が漏れる。
「え、誰? やっぱ彼女いんの?」
楽しげな明の声に、宵は首を振る。大山も後ろからちらっと宵のスマホを覗こうと身を乗り出した。
「おい、おまえいつの間に!」
「勝手に見てんじゃねーよ」
「出来心だ、許せ。『春』なんちゃらってやっぱり女の名前だなっ。てか電話相当鳴ってたぞ! ソクバッキーなのか?」
「……違うって。もううるせー、ちょっと電話してくる」
宵はそそくさと部屋を出ていった。

