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Memory of Night 2
第22章 交渉

「あー、胸くそ悪……」
春加は足を組み、亮を睨み付けた。
「この話題を振ると、ハルちゃんはいつも不機嫌になるね」
「わかってて振ってきてるんだろ? それも引っくるめて胸くそ悪いんだよ」
「やだなあ、純粋な興味だって、桃華さんへの。あんなに綺麗な人、女優さんでもない限りなかなかお目にかかれないからね。今度宵くんに会ったら聞いてみようかな、お母さんのこと」
亮は楽しい遊びを思いついた時の子供のような顔をした。
春加は迷ったが、忠告と共に一つだけ真実を伝えることにした。
「……それはやめた方がいいと思うけど」
「どうして?」
「ーー桃華はもう、死んでるから。あんま気分のいい話題じゃないと思うけど、あいつにとって」
「……え?」
亮は大きく目を見開いた。
「そんなことよりさ、やっぱ今日泊めて」
「ちゃんと僕の家に向かってるよ」
「知ってっけど一応」
外の景色でわかってはいる。
亮は唐突に、軽く肩をすくめてみせた。
「……まったく。話を逸らすのも下手だね」
「うるさい。ねえ、飲みなおそ」
「僕はまだ一滴も飲んでないけどね」
車は雨の中を進んでいく。そこから亮の家までは、音楽をかけながらお互いほぼ無言で過ごした。

