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Memory of Night 2
第23章 墓参り

どこの大学行くの?
そう言いかけて、宵は口をつぐむ。
晃の進路。医学部を目指しているのは知っているが、具体的にどこの大学を受けるのか、きちんと聞いたことはなかった。
なんとなくだが、晃の方がこの話題を避けているようなそんな気がした。
予備校の時間を増やした時も、その事実だけを伝えてくるのみで、それ以上の話はない。
晃がまだ話したくないのなら、自分から聞くのも野暮な気がする。
「食後に珈琲飲む?」
「あ、ごちそうさま。美味しかったよ」
晃は空になった食器に手を合わせた。
「……お粗末さま」
「宵が淹れてくれるの?」
「うん、ちょっと待ってろ」
ついでに食器もまとめ、立ち上がろうとした時。
ふいに腕を引かれ、背中から抱きしめられた。
「珈琲はあとでいいから、少しこうしてていい?」
腕の中にすっぽりと宵の体を閉じこめてしまう。こういう抱きしめ方をしてくる時は、だいたい甘えてくる時だとなんとなくわかった。
宵は食器を一度テーブルに置き、尋ねる。
「……勉強しすぎて疲れた?」
「うん、少し。ちょっとやる気を充電したくて」
「五分千円な」
「高っ。ぼったくりじゃん。でも五分抱きついてていいんだ」

