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Memory of Night 2
第25章 夏の終わり

だけど宵は違った。今までの誰かへの気持ちは一時的な興味や独占欲で、宵への気持ちは恋愛感情だった。
その違いに気付けたのも、思い起こしてみるとこの場所だった。
あの時は、宵と付き合えたらそれだけでいいと思っていたのに。こうして願いが叶った今は、失うことが怖くなっているなんて、不思議だ。
こんな気持ちも切なさも、宵に出会って初めて知った。
「ーー俺も宵が初恋なのかも」
「は? 嘘つけ」
「本当だって」
晃は宵の体を離し、頬に手を添え、長い睫毛の奥の灰色の瞳を見つめる。
「ーーありがとう」
「……?」
怪訝な顔をする宵に、晃は微笑む。
「俺にいろんな感情を教えてくれて」
「……なんだ? それ」
「なんでもないよ」
その時、一際華やかな花火が上がった。大きくて、色が幾つも変化する。数秒の間のあと金色の花火があとからあとから打ち上がり、夜空を派手に染め上げる。
「すげー……」
「綺麗だね」
手だけは繋いだまま、しばらく二人は言葉もなく花火を眺めていた。
「そういえば、あれってただの告白じゃなかったんだね」
「……あれ?」
「ずっと一緒にいたいって言葉。君がおばあさんになるまで一緒に生きようってことだろ? そんなのもうプロポーズじゃんっ。宵は本当に俺のこと大好きなんだね」

