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Memory of Night 2
第25章 夏の終わり

いい加減、その誤解も全力で解かなければ、と思うのだが。
晃はベッドの上で、じりじりとにじり寄ってくる。
反射的に逃げ腰になる宵に、ふいに晃は笑った。
「嘘だよ、今日は別にアブノーマルなことがしたくてアイマスクしてほしいわけじゃないよ」
「……は? 嘘ばっか。目隠し以外に何に使うんだよ、そんなの」
「いや、するのは目隠しだけど」
「……?」
じゃあやっぱり、アブノーマルなプレイではないのか。
「知ってる? 視界を塞ぐと、全身の感覚が研ぎ澄まされて、普段よりも感度が上がるんだよ。……俺が東京に行ったら、今ほど頻繁にはできないから。その前に、俺をもっと宵の全身に刻み込みたい」
「……っ」
返事をする前に、ベッドに押し倒される。
キスできるくらい間近から、甘い瞳で見下ろされる。
ティーシャツ越しに脇を撫でられ、耳元で囁かれる。
「ーー嫌?」
鼓膜を直接震わせるようなテノールに、ぞくぞくした。
(嫌って言えないの知ってるくせに……)
そういうところ、本当にずるい。
「目隠し以外はしないよ、いつもより優しくする。怖くなったら、自分で外していいから。……ダメ?」
左手で宵の唇、右手で耳朶(じだ)を弄びながら、最後の一押し。
拒否できるはずもなかった。
「痛いのとか乱暴なのやだからな」
「うん、わかってる。最高に気持ちよくしてあげる」
そんな一言ですぐにスイッチが入りそうになる。
頬が熱くなっていくのを隠すように、宵はベッドの上で起きあがり、晃からアイマスクを奪い取った。

