この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Memory of Night 2
第25章 夏の終わり

「……ありがと」
「え? いーよ全然。こんなの、高いものでもないし」
アイマスクに対しての礼ではなかったが、晃はそうだと思ったらしい。
意地の悪い声が続いた。
「別の使い道ができて、良かった」
右肩に何かが触れた。宵はつい身を強張らせてしまう。晃の手だとすぐに思い当たる。
「……そんなに体、硬くしないで。怖い? 部屋の明かり、つけてする? 少しは光が入るかも」
「光?」
真っ暗な今の状況よりはいいということか。
宵は頷きかけるも、すぐにはっとして、首を横に振った。
晃に自分の姿が丸見えになってしまう。その方が何百倍も嫌だった。
「変態!」
「引っかかんなかったか。宵のエロい姿がよく見えると思ったのに」
手探りで枕を掴み、そのまま投げようとしたところで晃の手に阻まれる。
「だめ」
「ん……っ」
甘い口付け。柔らかく唇を覆われ、鼻にかかったような吐息が漏れた。
間近にある晃の気配。シャンプーの匂いと、衣料用洗剤の匂い。視覚を奪われているからだろう、普段は気に留まらないようなものまで、わかってしまう。
晃は唇を離すと、抱きしめてくる。首筋から感じる晃自身の匂いに、心臓が高鳴った。

