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Memory of Night 2
第26章 承諾書

「今回経費抑えてるから、還元率も高めかも。無理言ってお願いしてるし、そこも少し上乗せされてるよ、知らんけど。あと……」
そこで春加は口をつぐんだ。
「ま、そんなに要らないなら減らすけど」
「いるいる!」
大学への進学費用の足しにできれば、ありがたい。こんなに貰えるとは思ってなかったが、一度提示された数字を見てしまうと、減るのが惜しくなるのは人間の性(さが)というもの。
「ならサインして。あ、ちゃんと読んどく?」
「いーよ、あんたが説明してくれたの聞いたし」
小難しい文章なんて、いちいち読んでられるか、と思う。
宵は春加に差し出されたペンを握る。春加が承諾書を捲り、何ヵ所かある署名欄に名前を書いていった。
「さんきゅー。あとで控え渡すから。あ、あと今日家行くから」
「……は? なんで?」
「なんでって、日程と詳細がだいぶ決まったから説明しに行くに決まってんじゃん」
「そんなんここでいいじゃん」
春加はあからさまにため息をつく。
「おまえだけだったらそうしてるよ。晃がうるせーから、ちゃんと話しておこうと思ってね。あとからごちゃごちゃ言われても面倒だし」
「……ああ、それは助かる」
春加の説得に、おとなしく晃は応じていた。
最初は絶対反対されると思っていたのに。
どう言って晃に交渉したのか、詳細は知らない。直接春加にも聞いたが、はぐらかされてしまった。

