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Memory of Night 2
第27章 コンセプト

一瞬躊躇しかけたが、承諾書だけ抜き取り、また同じようにバッグに戻してしまえばわからないだろう、と予測した。
だが、そっと抜きとった瞬間、春加の声がした。
「見ーたーなー」
「うわ……っ」
はっとして顔をあげると、風呂上がりの春加がドアの前に立っていて、すぐさま承諾書を取り返そうと向かってきた。
一瞬のうちに奪われ、再び取り返そうとした結果が、晃たちに見られたあの体勢なのであった。
「ーーふーん、二人の話全然違うんだけど」
「こっちがホントだって」
宵は食い下がる。成り行き上、土方の別宅で撮影することと、衣装を引き立てるための小道具として土方に緊縛を施されることになりそうなことなども洗いざらい話し終えると、気のない相槌ばかりだった晃がようやく口を開いた。
「なるほどね。ま、ハル姉の話が本当だとしても、今の君の話が本当だとしても、どちらにしても君が悪いね」
「…………」
宵は二の句が継げず、項垂れるほかない。
「仮に宵の話を信じるとして、人の持ち物を勝手に漁るのは犯罪行為。そもそもその承諾書、ちゃんとハル姉に説明を受けてサインしたんでしょ。今さら強引に無しにしようとするのはおかしな話じゃない?」
「…………わかってるよ」
「あれ、あたしの話は信じてくんないわけー?」

