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Memory of Night 2
第27章 コンセプト

「じゃあ、次、宵。弁明があるならどうぞ」
低音で促され、晃の視線が宵へと向いた。
冷たい視線に怯みそうになるも、春加の話には嘘しかないので本当のことを伝えなければ、と覚悟を決めた。
話は簡単で、十一時前に春加が家にきた。まかないと酒と着替えまで持って。
シャワーを貸せというから、前回の時のように貸したのだが、その途中で思いついてしまった。
ーーあの承諾書さえなかったら、緊縛云々の話を無効にできるのでは、と。
他人の鞄を勝手に漁るのは悪いこと。もちろんそんなことはわかっていたが、やはりどうしても土方に緊縛行為をされるのは抵抗がある。そこで承諾書を見つけ出し、隠すか破くかしてしまえたらと考えたのだった。
春加は鞄を二つ持っており、一つは財布や鍵などの貴重品が入っていると思われる、メインのショルダーバッグだ。そちらには一切触れていない。
宵が狙っていたのはもう一つのトートバッグの方だった。A4サイズも入りそうなくらい大きい。もし承諾書を今持っているとしたら、間違いなくそっちのバッグだろう。
そう思い、中を覗いた。
案の定、トートバッグの中にはクリアファイルがあった。店での売り上げや酒の種類が記されたもの、シフト表やイベントの日程など、いろいろな会社情報が載った紙がファイリングされている。ペラペラと捲っていくと、最後のページに夕方見た承諾書の文字を見つけた。

