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Memory of Night 2
第27章 コンセプト

「ハルちゃん、もう君の負けだよ。観念して、晃くんに任せな」
「……土方のおっちゃんどうすんの?」
「君が宵くんをダシにして、余計なことを約束してくるからでしょう? どうにかしなさい」
ちっ、と盛大な舌打ちが春加の口から聞こえた。
それから亮は改めて、宵と晃を交互に見やり、説明してくれた。
「心配しなくても、練習が必要になるような本格的な緊縛はしないから安心して。ローズと、アメリア先生の着付け教室に貼るためのあくまで宣伝用のポスターだからね。僕の店の方はともかく、彼女の教室は子供も通ってくるところだよ? そんな場所に本格的な緊縛を扱ったポスターなんて貼れるわけないし。本当に、そういう目的のものじゃないから安心してね」
宵ににっこりと笑みをみせる。
それから今度は晃に向き直り、
「あ、そうそう、アメリア先生っていうのはね」
と彼女がどんな人物なのかも丁寧に説明した。
続いてポスター撮影の日程や流れ、コンセプトなどの詳細をもう一度おさらいしてくれた。
亮の柔らかな声とゆったりした話し方は、不思議と場を和ませる。先ほどまでのぴりぴりとした雰囲気は次第になくなっていった。
春加はもう口出しせず、黙って酒を飲んでいる。

