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Memory of Night 2
第27章 コンセプト

いつも誰に対しても、基本的に宵よりもむしろ社交的なくらいなので、そんな態度は珍しい。
晃は重ねて尋ねる。
「彼女の車のスペアキーもお持ちみたいですね。さぞ特別なご関係のようで」
柔らかな口調の中にトゲを何本も仕込み、晃はずけずけと聞く。
「……やっぱ、付き合ってるんですか?」
宵は春加に視線を向けた。すっかり寝息を立てていた。
「いや、今は」
「じゃあ、昔?」
前にも聞いたことがある質問をもう一度投げてみる。その時は否定されたが、車のスペアキーを持つような間柄なのに、二人の間に何もないというのは考えにくい。
「うーん、どうだろうね」
亮は春加の前からコップを取り、自分の手元に戻した。空になったそれを曖昧な顔で眺めている。
宵は烏龍茶を注ごうと二リットルのペットボトルに手を伸ばしたが、亮は手のひらでそっと制した。
もう大丈夫だよ、と一言添え、続ける。
「付き合ってたって言える時期も確かにあったかもしれないけど、多分君たち二人のような感じではなかったよ。今も昔も、ハルちゃんのことは大切だし必要だと思ってる。でもそれも、僕個人としてよりも店にとってなんだ。……宵くんには前に一度、少し話したことがあるかもしれないけど」
「……ええ、聞きました」

