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Memory of Night 2
第30章 花魁ショー

「……まだ怒ってんの? あんたのプライベートなこと、無理に聞き出そうとして悪かったよ」
春加は変わらず、目元をアイラインで覆う目力のみを強調したようなメイクをしていた。
表情の読めないその顔でしばらく見つめられる。
やがて、春加はぽつりと言った。
「いや、悪いのはあたしだ。ただの八つ当たりだった」
一度目を伏せる。
「ーーおまえには、関係ないことだった」
「……あんたさ、そのメイクやめたら? 何考えてんのか全然わかんねー」
じっと見つめられても、真意は一つも読み取れない。メイクをしない方が、心の中を覗けるきがしていた。
だが春加は一蹴する。
「いいだろ別にわかんなくたって。知らなくていいことなんだよ」
春加はフロアを見渡した。
「とりあえず着替えてこい。もうアメリア先生来てるから、見かけたら挨拶しとけよ。……あ、でも普段より三割増しでテンション高いから気をつけな」
「……めんどくさ」
普段のテンションすら、押されてしまうのに。
(そういえば、花魁ショーって具体的に何すんだろ)
ふと思った疑問を胸に、宵はいつもの制服に着替えるべくスタッフルームに向かうのだった。

