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Memory of Night 2
第30章 花魁ショー

「ーーやあ、宵くん。今夜も会えて嬉しいよ」
毎度毎度の聞き慣れたもの。
振り向くと、予想した通りそこには土方がいた。
「……いらっしゃいませ」
「マスターに聞いたよ。撮影の時の緊縛、この店のスタッフの一人がすることになったんだってね。残念だなあ、ようやく念願の夢が叶いそうだったのに」
(夢って……)
そんな大層なものにされても困る。
何日か前に土方さんには話しておいたから大丈夫だよ、と亮から報告されたが、どう言ったのかまでは知らなかった。
自分の知らないところで進み、知らないところで消えていく話が多すぎてもうよくわからなかった。
「一杯いかがですか?」
いちいち相手をするのも面倒なので、宵は持っていたカクテルを勧めた。
土方は甘い酒が好きらしい。今日はピーチを使ったカクテルらしいので、土方が好みそうだった。
「そうやって、すぐ話を逸らすんだから。そういうつれないところも好きだよ」
「……ありがとうございます」
土方はM気質らしく、雑に扱っても怒らない。
そこだけはいい。
「このお酒は宵くんが作ったのかい?」
「はい、飲んでいただけますか?」
「もちろんだよ!」

