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Memory of Night 2
第33章 撮影旅行前夜

ーー確かに、その日の晃の愛撫は丁寧だった。『じっくり、丁寧に時間をかけて』をそのまま有言実行してくれていた。
けれどその丁寧さが、宵にはもどかしかった。
「あ、や……ふん……」
もっと、とねだってしまいそうになる。
晃とベッドに入って、すでに三十分以上。服は全て脱がされていた。キスから始まり、手のひらや指先や舌で丹念に全身を愛撫されていたが、その全てが優しい。強引さや乱暴さは一切なかった。
手首だって、いつもまとめられたり縛られたりするのに、今日は恋人繋ぎのように握られている。
最初は甘くて優しい前戯は純粋に嬉しかったが、今は刺激が足りずもどかしいばかりだった。
晃は左手で宵の手を握りながら、宵の鎖骨や脇を舌先で愛撫している。そこだって気持ちいいが、もっといい場所を、吸われたり噛まれたりしたい。
「は、あ……」
宵は我慢できず、自ら晃の頭を自分の胸元に導いた。
「ここ、舐めてほしいの?」
「……ん」
小さく頷く宵に、晃は笑う。
舌で左、指の腹で右の赤い突起をくりくりと刺激されると堪らなかった。
「もっと、強く……」
とっさにそうねだってしまう。
晃は口元に笑みを浮かべ、首を振った。

