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Memory of Night 2
第33章 撮影旅行前夜

ーーたった数年だから、大丈夫。姫橋祭で告げた言葉に嘘はないし、自分がその数年の間に誰か別の人を好きになることはないだろうと思った。
晃に出会って、初めて人を好きになった。晃に対して抱く気持ちは、他の誰に対するものとも明確に違っていた。これを恋と呼ぶなら、間違いないんだろうと思う。簡単に、冷めたり移ったりなんてしない。
同時に、晃が自分に向けてくれる気持ちもずっと続くと信じていた。
でも、全く強がってなかったかというと、そんなこともなかった。
ーー寂しくないはずはない。こんなに毎日一緒にいて、その時間が幸せでたまらないのに。触れられる距離にある温もりが、遠くにいってしまうこと、全く寂しくないはずはないのだ。
宵は体を離し、再び晃に口付けた。少しでも多く、一緒の時間を過ごしたい。だから受験間近だとわかっていながら、明日からの合宿にも誘ってしまったのだ。
「好きだよーーずっと」
「え……? なんか言った?」
つい、呟いてしまった声に反応し、晃が聞いてくる。
「……なんも。んじゃ、さっさと乾かしに行くか」
「うん、日付が変わる前に」
少しでも多くの時間を一緒に過ごしたい。そんなことを思ってしまう自分に、宵は苦笑する。
二人は浴室を出て、洗濯したシーツを持って、真夜中のコインランドリーに向かうのだった。

